人が住んでいない家というのは、通りすがるだけでわかる

カタコンベという、墓の家が立ち並ぶ地域へ行った時感じたこと

格子戸は外部に対して使われ、葦箸戸は内部に使われる建具であった。「家のつくりようは夏を旨とすべし」の実践編である。障子と屏風日本の家がこうした開放的な家になったのは鎌倉時代の頃で、それまでの寝殿造りが書院造りへと変化した時であった。寝殿造りでも柱間に建具が入っているが、柱に刻み付けた溝に板戸を取り付けていた。板戸は上下二枚で、上の板戸は外に向かって跳ね上げ、下の板戸は落とし込む。全開可能だが開けっ放しにしかならないし、閉めれば中は暗闇になる。採光閉鎖ができなかったので、開けている時には中には几帳という布地を張った衝立を立てていた。

障子はまだ無かったが、屏風は数多く使われていた。ガランドウの板の間の一部を居所とするための区画として立てていた。畳もまた、そうした居所に置き畳として使われていた。その様相は桃の節句の雛飾りの最上段で偲ぶことができる。置き畳の上に座して屏風を背にしている。障子は屏風からの転化と考えられる。たまたま屏風に張った紙が薄くて、光を通すことを知り、これを溝に建て込めば採光閉鎖ができるのを発見した人がいたと仮定してみても、あながち嘘とは言い切れないほどの信懸性がある。

障子紙は断熱性にも富んでいて、明治中期に板ガラスが国産化されるまでの六百年に及ぶ歳月に、採光閉鎖の主役の務めを果たしてきた。この発明の頃に生きていた兼好法師の言葉に、障子を得た喜びを感じるのは深読みに過ぎるが、まんざら嘘とも言いきれまい。昼も暗かった室内に光を得た喜びは絶大であったであろう。事の序に言うとすれば、鎌倉時代は西洋ではゴシック建築が誕生した頃に相当する。
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